配当還元方式の評価額は【原則的評価方式より低く】なりやすい
配当還元方式での自社株の評価方法について、解説しています。
1株当たりの配当金を10%で割り戻す
配当還元方式は、簡単に言えば経営に口を出さない零細株主に適用される方式です。
将来の経営リスクを考慮しつつも、株主が将来受け取るであろう配当額を予測して、1株あたりの株式の価値を算出します。
具体的には1株当たりの配当金を10%(平均的な配当率)で割り戻します。
計算式は以下のようになります。
無配当の場合
配当還元方式の計算において、直前2年間の1株当たりの年平均配当金額を用います。
では、この直前2年間無配当だった場合はどうなるのか?
このような無配当の場合、直前2年間の1株当たりの年平均配当金額を2.5円とします。
2.5円を10%で還元して評価するので250円となります。
ただ、原則評価方式により評価した金額の方が低いときには、原則評価方式により評価することができます。
配当還元価額の計算例
- 直前期の1株当たりの年配当金額:21円
- 直前々期の1株当たりの年配当金額:23円
株価は以下のようになります。
- (21円+23円 ÷ 2 = 22円(年平均配当金額)
- 22円 ÷ 10% = 220円(株価)
配当還元方式は特例的扱い
配当還元方式は、少数株主が株を相続したり贈与したりする際に採用できるというものです。
そして、配当還元方式は、一般的に原則的評価方式(類似業種比準価額方式と純資産価額方式)より【低くなりやすい】です。
これは株主に配当をせずに、会社の利益は役員報酬でオーナー親族に分配されているような会社が多いことや、その非上場株式を取得した少数株主が、経営に影響を与えるようなケースがほとんどないことなどから、その株式を保有する価値が低いためです。