配当金等は【源泉徴収後の金額】が相続税評価額

未収配当金や株主優待券の相続税評価方法について、解説しています。

配当期待権や未受領配当金は相続財産

上場株式を保有している場合、配当金を受け取ることがあります。

株主配当
株主配当
上場株式を保有していると配当金を受け取る場合がある

この配当金は相続財産となります。

そして以下のように区分され、相続財産に計上します。

  1. 配当期待権
  2. 未収配当金
  3. 未受領配当金

配当期待権
配当期待権とは、配当金交付の基準日の翌日から、配当金交付に関する株主総会の決議があるまでの間における、配当金の交付を受ける権利をいいます。

配当期待権の相続税評価額は、課税時期後に見込まれる予想配当の金額から、源泉税を控除した金額となります。

未収配当金
被相続人が死亡した日において、まだ受領していない配当金は、未収配当金として相続財産になります。

未収配当金の相続税評価額も、源泉徴収後の金額となります。

まとめると、以下の図のようになります。

配当期待権・未収配当金
配当期待権・未収配当金
ともに相続税評価額は源泉徴収後の金額

仮に配当基準日の翌日から、相続開始の日の前日までの間に、被相続人が株式を譲渡していたらどうなるか?

この場合、相続開始日時点において、被相続人は株式を所有しておりませんので、その株式を相続することは出来ません。

ただ、配当金は基準日の株主に支払われます。

そうなると配当期待権や未収配当金は、被相続人が相続開始の日の前日までの間に、その株式を売却していたとしても、相続財産に計上する必要があります。

また、被相続人がどういった株式を保有していたのか不明な場合には、所在不明株主に該当している可能性もあります。

その場合の対処方法としては、被相続人が所在不明株主に該当していないかの確認方法に記載しています。

未受領配当金

未受領配当金とは、配当金の受取り方法で、配当金領収証方式を選択していた場合に、

  • 配当金領収証を無くした
  • 配当金領収証の期限を過ぎてしまった

配当金で未受領のものをいいます。
(期限が切れていても配当金は支払われますが、通常3年が経過した場合には支払われません。)

受領可能な期間内の未受領配当金の相続税評価は、源泉税を控除して、未受領配当金として、相続財産に計上にします。

配当金の確認等は、通常、信託銀行への照会で出来ます。

株主優待券

個人の株主等が受ける配当等に含まれない、経済的な利益は雑所得に該当します。

なので所得には変わりありません。

よって、被相続人が受け取った、又は受け取るべき金額(株主優待券等)は相続財産となります。
(ちなみに法人が法人の利益にかかわらず、株主に対して供与する株主優待券等は、法人が利益処分として経理しない限り、配当等には含まれません。)

また、最低売買単位である1単元に満たない単元未満株というものもあり、こちらも相続財産となります。

詳しくは、被相続人が保有していた単元未満株の確認方法に記載しています。

動画で解説

未収配当金や株主優待券の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

未収配当金や株主優待券の相続税評価方法

動画内容

株式を特定の日付に保有していると、その株式を発行している会社から、配当金や株主優待券をもらえることがあります。

この配当金や株主優待券も、相続税の対象となります。

今回は、これらがいくらの財産として相続税の対象になるのか、その計算方法について、お話を致します。

まず、配当金からご説明します。

配当金とは、基準日とよばれる日付に株式を保有していた場合、その株式を発行している会社から受け取れるお金のことです。

受け取れる金額は、主にそのときの会社の利益から決まります。

そのため、いつも同じ金額ではありませんし、もらえないこともあります。

配当金がいくらになるかは、基準日の後の株主総会の決議で確定をします。

では、もし基準日から株主総会が行われる前に相続が発生した場合、配当金は相続税の対象になるのでしょうか。

相続税は相続が発生したとき、つまり、亡くなった時の財産から計算をします。

基準日から株主総会の間に相続が発生した場合、まだ配当金をもらっていませんし、金額も確定していない状況です。

しかし、この場合でも相続税はかかります。

具体的には配当期待権といって、配当金をもらう見込みがある、その権利に相続税がかかるのです。

配当期待権は、相続が発生したときの配当予想額から、源泉徴収税額を控除した金額で評価をします。

では、もし基準日や株主総会の決議の後から、配当金が実際に支払われるまでの間に相続が発生したらどうでしょうか。

この場合も相続税の対象になります。

このときは未収配当金といって、確定した配当金の額から、源泉徴収税額を控除した金額で評価をします。

なお、基準日より前に株式を手放すと、配当金をもらう権利はありません。

そのため株式を相続したときは、その株式の基準日はいつなのか、ということを考える必要があります。

基準日は、インターネット等で調べることができます。

さらに、これ以外にも、まだ受け取っていない配当金がある場合もあります。

それは、配当金領収証方式を選択している人が亡くなった場合です。

配当金には受け取り方法がいくつかあるのですが、そのうちの一つが配当金領収証方式です。

この方式では、銀行から配当金受領証が自宅に送られてきます。

株主は、この配当金受領証を郵便局や指定の金融機関にもっていって、これと引き換えに配当金を受け取ることができます。

この方式を選択している人が亡くなったとき、注意したいのは、まだ引き換えていない配当金があるのではないか、ということです。

中には、配当金を受け取る前に受領証をなくしたとか、受領証の期限が切れているといった理由で、放置されている場合もあります。

しかし、このような場合でも、実はまだ、配当金をもらえるケースがあります。

期限が切れていても、通常、3年以内は配当金を受け取れるので注意をしてください。

受け取れる配当金があれば、その配当金の額から、源泉徴収税額を控除した額が相続税の対象となります。

配当金の確認は、通常、信託銀行への照会で出来ます。

最後に株主優待券についてですが、これも相続税の対象になります。

相続が発生したときにまだ届いていなくても、もらえることが確定していれば相続税の対象になるので注意してください。

この場合、優待券の金額が課税の対象になります。