【マンション敷地全体の評価額×敷地権割合】で評価
マンション敷地の相続税評価方法について、解説しています。
所有者の敷地権の割合で評価する
被相続人の遺産として、区分所有マンションがある。
この区分所有マンションは、一戸建てと同じように、
- 建物
- 土地
と分けて、相続税評価額を算出します。
ちなみに、建物の相続税評価額は固定資産税評価額となり、特に計算はいりません。
それに対して、マンション敷地の評価額は以下の計算式で算出します。
【マンション敷地全体の評価額 × 敷地権割合】
敷地権割合は「〇〇〇〇〇〇分△△△」というよに、登記簿謄本に記載されています。
例えば、マンション敷地全体の評価額が5億円、敷地権割合が「300000分2100」の場合、その区分所有マンションの土地の相続税評価額は、350万(5億円×2100÷300000)となります。
マンション敷地全体の評価方法としては、路線価があるなら「路線価方式」、ない場合には「倍率方式」で評価します。
また、区分所有マンションが複数の敷地の上に立っている場合は、その土地を一体(一つもの)として評価します。
なので、複数の敷地を別々に評価するのではなく、一つの敷地としてまとめて評価をして、それに敷地権割合を乗じて相続税評価額を算出します。
公衆化している公園や道路等は計算から除く場合もある
区分所有マンションの土地の相続税評価額は、マンション敷地全体の広さ(評価額)に影響を受けます。
なので、マンションの敷地が著しく広くなると、敷地権割合をかけて相続税評価額を計算することが、不適当な場合も発生します。
例えば、マンションの敷地内に公園や道路など公衆化しているものが多く含まれており、以下のような極端なケースの場合(単位は省略)、
- 公園などを含めたマンションの敷地の広さが10000000
- 敷地権割合が「300000分2100」
- 実際の床面積70
- 計算上の敷地面積70000(10000000×2100÷300000)
となり、著しく不適当な計算と言えます。
このような場合で、著しく不適当であると認められる場合には、公園や道路などを敷地から除外して、計算することが出来ます。
ただし、建築基準法第59条の2の規定に基づく総合設計制度により設けられた、敷地内に歩行者が日常自由に通行又は利用できる公開空地などは、計算から除くことは出来ません。
動画で解説
マンションの敷地の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
マンションを相続したとき、どのように評価をするのかというと、戸建て住宅のように建物と土地に分けて評価をします。
土地については、マンションの敷地全体を評価し、それに敷地権割合という、亡くなった人の敷地の持ち分をかけて計算します。
たとえば、マンションの敷地全体の評価額が5億円で、敷地権割合が200分の1の場合、その区分所有マンションの土地の相続税評価額は、250万円となります。
敷地権割合は、マンションの専有部分から計算され、分数で登記されています。
よって、マンションの登記簿を見れば、敷地権割合はすぐに確認できます。
実際は「三十何万、何千何百分の千何百何十何」というように、かなり細かい数字であることが多いです。
マンション敷地全体の評価方法としては、通常の宅地の評価と同様に「路線価方式」や、路線価がないときは「倍率方式」で評価をします。
もしマンションが複数の敷地の上に立っている場合は、その土地を一つの土地として評価します。
それから、マンションの敷地内に公衆化している公園や道路等がある場合があります。
これらがあまりに広いと、さきほどの計算では、マンションの敷地の評価額が、専有面積にくらべて不当に高くなってしまう場合があります。
こうしたときは、公園や道路などを敷地から除外して、計算することが出来ます。
たとえば公園などを含めたマンションの敷地の広さが1,400万㎡、敷地権割合が200分の1、実際の床面積70㎡、計算上の敷地面積7万㎡となると、実際に専有している床面積に対して、敷地の持ち分が高すぎますよね。
そうした場合は、公園などの部分を敷地から除外して計算できる、ということです。
ただし、建築基準法に基づく総合設計制度によって設けられた、歩行者が日常自由に通行したり利用したりできる公開空地というものがあります。
一定以上の広さをもつ敷地に、あえて一般に開放された空地を確保するために作られたものです。
この制度によって設けられた公園などの部分であれば、相続税評価の際に計算から除くことはできませんのでご注意ください。