マイナンバー制度で相続税の税務調査が増える
マイナンバー制度で、国から財産を把握されたくない。
確かに、財産がいくらあるかを知られて、嬉しい人はいません。
また、マイナンバー制度で、税務調査が増えるとも言われています。
ただ、本当にマイナンバーで財産管理が出来るようになると、税金の申告が便利になるというメリットもあります。
マイナンバー制度で故人の財産が丸裸?
そもそもマイナンバー制度とは、国民一人一人に与えられた12桁の番号で、
- 税金
- 災害対策
- 社会保障
の3つの分野で、
- 行政の効率化
- 国民の利便性の向上
- 公平・公正な社会の実現
を目的とした制度です。
既に税務署に提出する申告書等には、マイナンバーの記載が義務づけられています。
なので、既になじみのある制度と言えるかもしれません。
そして、2018年(平成30年)からは、預貯金口座にマイナンバーが任意で付番されます。
現時点においては、預金者(個人)が銀行にマイナンバーを通知する義務はありません。
ただ、2021年には預貯金口座とマイナンバーの紐づけが義務化されると言われています。
そして、預貯金口座とマイナンバーの紐づけがされると、税務調査の件数が増えると言われています。
これは税務調査での情報収集が大幅に簡素化されるからです。
1件あたりにかける税務調査の時間が、マイナンバーのおかげで少なくなり、その分他に労力を回せるということです。
また、今までは主に不動産に関しては、税務署は市区町村からの固定資産税の資料や確定申告の資料などから、既にある程度、把握していると言われていました。
それがマイナンバー制度の導入により、金融資産も税務署が把握できると言われています。
なお、既に投資信託や国債、地方債などの証券取引全般や、外国送金などをする際には、マイナンバーの提示が必要です。
なので、預貯金以外の上場株式や債券などの金融資産も把握されると言われています。
今までは不動産を多く所有していた故人の相続人である場合には、
あなたは相続税がかかる可能性があります。相続税がかかる場合には申告してください。
といった旨の通知が送られていましたが、これからは金融資産を多く持っていた故人の相続人にも、同様の通知が行く可能性が高くなるかもしれません。
このようにマイナンバー制度の導入によって、故人の財産が丸裸になる日は近いとも言えるかもしれません。
脱税志向がない健全な納税者なら便利な制度
マイナンバー制度をまるで悪魔のような制度であるという人達もいます。いわく、
- 国に全て把握される
- もう財産を隠せない
ただ、冷静に考えてください。
脱税志向がない限り、とても便利な制度と言えます。
相続税申告の際に、そもそも納税者が財産を把握していないために、結果的に修正申告をし、追徴税額を払うということは少なくありません。
元々、しっかり申告をしたいという方でさえ財産把握が出来ずに、結果的に不完全な形で申告をしてしまう、ということが少なくないのです。
相続税の申告後に、故人名義の通帳が出てきた!
こういったことも決して珍しいことではありません。
マイナンバーで預金口座が紐づけされれば、こういったことを防げます。
また、手続きも一つの窓口で済むようになるかもしれません。
なので、マイナンバー制度は行政側だけに便利な制度ではなく、納税者側にも便利な制度と言えます。
脱税志向でもない限り、いたずらにマイナンバー制度を恐れる必要はありません。
なお、当たり前ですが、当事務所は脱税志向のある方の依頼はお断りしております。